アテナ・イェーガー〜出会い、のちにキス〜

「何だろう、この不思議な感覚……」

自分一人しかいないはずなのに、大勢に見られているような感覚をロネは覚えた。その視線はあちこちからする。しかし、森にいるのはロネだけだ。

「とりあえず、目的の薬草を探そう！」

ロネは辺りを見回しながら歩く。人が踏み入れないため、森の美しい自然はずっと保たれたままだ。

「薬草って市場で買うより森で探した方が絶対いいよね。新鮮だし、無料だし、何より森を探検できるし！」

歌を歌いながらロネは森の中を歩いていく。途中でウサギなどの動物にも出会った。その時、ロネはウサギたちに違和感を覚える。

「何で、あんな異常なくらい怯えるんだろう」

野生の動物が警戒心が強いことは知っている。しかし、この森の動物たちはなぜか異常なほど警戒心が強いとロネは思った。ロネを見るだけで威嚇したり逃げたりする。

「この森、やっぱり特別な何かがあるのかな……」

早く薬草を取って帰ろう、そうロネが思っていた刹那、目の前の岩の隙間に目的の薬草が生えていることに気付いた。ロネの目が輝く。