男心と春の空
八重島
改札を出て、向こうはもう真っ暗になったガラスの天井の下を歩く。

朝は、特に晴れた日はここから太陽の光が入って、白い壁に反射され、とても明るい空間ができる。
なかなか朝帰ってくることはないけど、地下をずっと走ってきて、この明るい空間に出てくると太陽ってこんなに強かったっけ?と思う。

駅前は、いつものことながら悲しいほどに真っ暗がのびている。
ただ左側には少し離れてポツンと光を放つものがある。
コンビニ。

俺の住むこの街は、地下鉄の駅を出るとすぐ商店街がある。
しかし、それらの店は俺が2コマ目から学校行くくらいに始まり、4コマで終わってどこにも寄ることなく帰ってきたくらいに閉まる。

つまり、1コマからが多く、帰りは遊んだりバイトをしたりする俺はなかなかそれらの店が営業しているところを見たことがない。

そんな俺にとって唯一馴染みのある店がコンビニだ。
ほぼ毎日寄っては、本を立ち読みしたりガムを買ったりする。

バイトの子がかわいいとかたいした意味はない。

ただあの時間帯の誰もいないコンビニが好きなのだ。

今日は少し意味がある。
雑誌「BoomStock」の発売日。
毎月の楽しみなだけあって、ちょっとワクワクする。

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