男心と春の空
「はまちゃん。はまちゃんだよね?」
「おう、アキナじゃん。なんでここいんの。うちの大学だったの。」

俺はなるべく冷静を装った。

アキナは首を横に振る。

「あたし、去年失敗したんだ。だから今年もう一回。今日はただの下見なんだ。」

アキナは少し俯いて笑う。

俺は「失敗」という言葉に少し驚いて言葉を見失っていた。

「元気?」

アキナがすぐに話題を変えてきた。

「え?」
「変わったね。ちゃんと大学生っぽい。」

懐かしい笑み。

「だって大学生だもん、俺。」

俺は調子を取り戻し返事する。

「ムカつく。」

アキナが笑いながら俺の肩をかるく叩く。

「いってぇ。」

俺は久しぶりになぜかすごくテンションが上がっている。

一瞬で中学校を思い出したからだ。

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