男心と春の空
「何学部受けんの?」
「国際政治経済学部と法学部。はまちゃんは何学部なの?」
「国際政治経済。お前と一緒かよ。」
「はまちゃんと一緒だなんてやだなあ。」

チラリと目が合う。

すぐにアキナの目が笑い返す。

急な胸の高鳴りを覚えた。

焦って時計を見る。

あ、こんなことしてる場合じゃなかった。

バイトの時間が迫っていた。

「あ、俺バイトなんだわ。」
「あたしも家帰って勉強しなきゃ。」

アキナがすっかり伸びた髪を耳にかける。

こんなに美人だったっけ。

俺は「じゃあな」と言うと軽く手を振って背中を向けた。

そしてすぐ振り向く。

「政経来たら俺の課題やらせまくるから。」

アキナは一瞬考えて、すぐに口を尖らせた。

「あたし後輩でしょ?」
「いいの、いいの。」

俺は恥ずかしくなってまた背を向けて、その場を去る。

足が軽い。

なんだこれ、すごくフワフワしている。

春からまた一緒?

単純に嬉しい。

また毎日が楽しくなる。

アキナが受かりますように。

初恋が一気に蘇る。
そう、アキナは俺の初恋の相手だった。
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