男心と春の空
店内に入ると俺はビックリした。

「八重島?」

明るい茶色にしてからかなりの時間が経ったんだろう、と思わせる2色の髪の毛の彼はレジの向こうの隅のほうでジャンプを読んでいた。

「おぉ、はまちゃん。なにこんな時間に。」

ニカニカ特有の笑みで近付いてくる。

こんな恰好をしてるけど、身長は162センチ、顔は童顔。

目なんか大きくてタレ目でかわいい。
中学時代の女装はマジでかわいかった。

「今バイト終わったんだよ。」
「え~、どこでバイトしてんの?行くよ、どこどこ?」
「家庭教師だよ。来たいなら来れば。」
「行く行く。いつやってんの?ってオイ!行くわけねえよ。」

八重島はリアクションが大きくて、よく笑って、普通に話すにはすごいいい奴だ。

だけど中学校入ってから不良系のグループに惹かれるように仲間入りし、みるみるうちにタバコだの女だのが似合う風貌になっていった。

コイツに女がいない期間なんてほんの数週間で、知らないうちに俺のまったく知らない女とフラフラ歩いてるのを目撃されてる。

そんな奴。


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