男心と春の空
二人はすぐ俺に向かい合うように並ぶ。

ホームにはほぼ俺らしか残っていない。

二人は制服を着ている。

よく大学の近くで見るけどどこの学校の制服かは知らない。

紺のブレザーに赤いリボン、ベージュのチェックのスカート。

俺は見るところもなかったので、案外冷静に足の太さをチェックしてから視線を顔に戻す。

二人とも意外と足が綺麗で見直した(というのも変だけど)。

笑顔の子は真っ黒のショート。

長めの前髪を流していて、目は猫っぽい。
ケバい。

その子が口を開いた。

「うちらよくミンツ行くんすよ。で、かなり前から通いまくってて、この子一目惚れしちゃって。好きなんですって。だから貰ってあげて。ほら、ほら。」

ミンツというのはバイト先のカフェのことで、さっきまでいた場所だ。

猫目ショートの女は隣の女の肩を叩いた。

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