男心と春の空
連絡したのはその夜。

返事はすぐにきた。
たわいもないやり取りをずっと続けた。

チョコありがとう。美味しかったよ。

こちらこそ。名前なんていうんですか。

浜田海。

何歳ですか。

十九歳。大学一年。弥生ちゃんは。

高三です。

そんなものがずっと続いた。

意外と普通の文面だった。

チョコは本当に美味しかった。

矢野英子がくれたコンビニのやつよりも、ずっと。

雄介が風呂からあがったドアの音が聞こえたが、リビングには来なかった。

そのまま部屋に入って寝たのだろう。

たくさんの包みがテーブルの上で寂しそうに残ったままだ。

俺はなんとなく口寂しくなったので、適当に一つの袋を手に取る。

別に俺がどれを開けてもいいだろうという考え。

適当に取った白い袋の中には箱と手紙が入っていた。

人気モデルは、一体女性からどんな手紙を貰うんだろう。

イタズラ程度の軽い気持ちだった。

封筒には「高松雄介様」とだけ書かれている。

少しワクワクしながら封筒を開ける。
薄いピンクの便箋。

少し強そうな字が透けた。

なぜか高揚する俺の心。

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