男心と春の空
その一方で、バイトのない日には弥生ちゃん(こう呼ぶようになっていた)と会ったりした。

俺はもうほぼ好きになっていた。

ギャルだという偏見はすぐに打ち消されていた。

弥生ちゃんはよく合コン相手になる女子大への進学が決まっていた。

所詮学校なんてそんなもんだ。

駅で待ち合わせて街をブラブラ歩くだけだったが、単純に楽しかった。

回を重ねるごとに弥生ちゃんにも笑顔と余裕が見えるようになって、それもまた良かった。

弥生ちゃんもまた「海くん」と呼ぶ。
幼い声で。

気がつけば初めてちゃんと付き合う予感がした。

そして意外にも弥生ちゃんにとっても俺が初めてだった。

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