男心と春の空
ある日、弥生ちゃんからの提案で、うちの大学に遊びに来ることになった。

「一緒に授業受けてみたい。」と。

樋川や野山から冷やかされるのは予想がついた。

渋々オーケーした。

二コマの授業に間に合うように駅で待ち合わせて、一緒に大学キャンパスに入る。

「こっち来たの初めて。」

弥生ちゃんがすごく嬉しそうにこっちを見る。

そんなに嬉しいのかな。

今日受けるのは一二年合同の一般教養の授業で、単位が取りやすいと人気の授業だ。

去年はそんな噂も知らなかったから、今年取ることになった。

キャンパスでど真ん中にある新しい講義棟に入る。

弥生ちゃんが嬉しそうにキョロキョロする。

「そんなにキョロキョロしたら、部外者ってバレるよ。」

俺がそう言うと、「はーい。」と俺に身を寄せてきた。

ちょっと、キャンパス内でベタベタしてくるのはやめて欲しい。

大きな教室に入る前に繋いでた手をさりげなく離そうとした。

「えー、なんで。」

弥生ちゃんが悲しそうな反応をする。

「いや、一応友達もいるしちょっとやめとこうよ。」

俺は頭をポリポリ掻きながら答えると、弥生ちゃんは拗ねたように口を尖らせる。

< 36 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop