男心と春の空
「じゃあさ、授業中机の下でつなご？」
「いや、それは・・・」

俺がタジタジになってると、女の子の集団が通りかかった。

「はまちゃん、おはよ。」

アキナの集団だ。

「おう。」

咄嗟の声に、「やばい」という表情が出てしまった。
弥生ちゃんがアキナの方を見る。

ああ。
なんだか面倒くさくなりそうな予感。

アキナが不思議そうに弥生ちゃんを見た後、俺をパッチリとした目で見てきた。

「彼女？」

無意識だけど少し回答に詰まった。

と、隣から弥生ちゃんが「です。」と肯定して俺の腕に絡みついてきた。

ああ。
後でこのこと怒られそう。

「うん、そう。」

俺はやっと答える。

「ほーん。じゃ。」

アキナがいつもと同じテンションでその場を去った。

無意識に「はぁー」と深い呼吸が漏れる。

「ねえ。」
「ん。」
「誰、今の。」

早速来た。

「地元の知り合いだよ。同じ中学校だったの。」

俺は当たり障りのない返事をする。
「地元」は都合がいい。

だけど、弥生ちゃんは全然納得してないようだ。
拗ねた顔が戻らない。

「まあ、いいじゃん、中入ろ。」

俺は弥生ちゃんを連れるようにして、だだっ広い教室の中に入った。

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