男心と春の空
授業が終わると、そのまま学食に向かった。
このまま昼だ。

弥生ちゃんはペッタリ俺について回る。

樋川と野山は気を使って少し距離を置く。

こういう感じ、やっぱり苦手だから今回限りにしよう。

樋川も野山も一度もこういうのを見せつけてきたことはない。

すげー俺がデレデレしてるみたいだ。

樋川がアキナグループの近くの席をとった。

よりによってそこかよ。

樋川は最近やたらとアキナに近づこうとする。

本人も勘づいてるようだが、いつも笑顔でかわしている。

俺は仕方なく樋川の向かいの席に座る。

「アキナちゃん、奇遇。俺も、俺も今日パスタ!」

くだらねえことで話しかける樋川。

「おい、それ、俺にも言えよ。俺もパスタだよ。」

俺だけが返す。

「お前のアレじゃん、ガーリック系じゃん。俺とアキナちゃんソース系だし。」
「そこの括り、わけわかんねえよ。」

アキナグループの女子たちがクスクス笑う。

二度目になるけど、アキナや弥生ちゃんほど可愛くはない。

弥生ちゃんが俺にすごく顔を近づけてきた。

「樋川くん、あの子のこと好きなの?」

すごく目を輝かせている。
俺は普通のボリュームの声で返す。

「なんか狙ってるみたい。」

野山がさっさと食べ始めたから、俺も「いただきまーす」と言って食べ始めた。

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