男心と春の空
クローズまで矢野英子と同じになったGW明けの土曜。

俺が裏で着替え終わってドアを開けたら、ちょうどそこに入ろうとしてきた矢野英子が立っていた。

「すみません。」

俺はそのまますれ違おうとしたら、矢野英子に腕を掴まれた。

「ね、飲みに行かない?」

え、と俺が躊躇っていると、矢野英子は半ば強引に「ちょっと着替えるから待ってて。」とドアを閉めた。

矢野英子と飲みに行ったって何話せばいいんだよ。
弥生ちゃんから電話くる時間なんだけど。

いろんな思いが混じり合う。

でも美人に誘われるのは嫌なわけじゃない。

モジモジして待ってると、矢野英子はすぐに出てきた。

髪おろしてスニーカーに履き替えただけのようだ。

「お互い明日は休みだし、ちょっとは飲めるよね。」

矢野英子が時計を見ながら先を歩いていく。


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