男心と春の空
23時。

ベロベロに酔っ払った矢野英子を支えながらなんとか駅を目指す。

矢野英子は全然自分の足で歩けないほど飲んだようだ。

「家、どっちですか。」
「こっちこっちぃ〜」

矢野英子が大きく腕ごと右を指す。

「はいはいはい。」

引きずるようにして矢野英子を支え、なんとか一時間かけてアパート前に着いた。

普通に歩いたら20分くらいの距離だったと思う。
休み休み歩いたせいで、すごく時間がかかった。

「じゃ、俺はここで。」

ゆっくりと矢野英子から手を離す。
と、グイッと腕を掴まれた。

「部屋で二次会しよ。」

え。

矢野英子の巨乳が少し腕に触れてる。

「部屋すか。」

俺の拍子抜けするような反応に、矢野英子は眠そうな目でコックリと頷く。

「それ以上飲んだら、ダメでしょう。」

俺はヘラヘラ笑い流しながら、静かに矢野英子の手を離そうとした。

が、「ほら、おいで。」と腕を引っ張られてしまった。

初めて上がる女性の部屋が、矢野英子の部屋だったとは。

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