男心と春の空
俺の部屋に入るなり、弥生ちゃんが背伸びして口を近づけてきた。

俺はキスに応えながら、優しくベッドに誘導する。

服を脱がせると、弥生ちゃんの白い身体が露わになった。

「いいの?」

念のため聞く。

「いいよ。」

弥生ちゃんが俺の指先に少し舐めるようなキスをする。

俺たちはお互い初めての経験をした。
初々しくて苦い経験になった。

本当のこと言うと、弥生ちゃんが「ごめん、ストップ。」と言ってきて中途半端に終わったんだけど。

正直、昨日の夜の矢野英子の生足の方が、ちょっとそそられたかもしれない。

今日もいつも通り七時過ぎに駅まで送っていく。

なんでか今日はお互い無言だった。

改札前でまた時間かかるのかな、と思ったけど、意外とすぐに弥生ちゃんの方から「じゃあね」と言ってきた。

弥生ちゃんの後ろ姿を見送ったあと、「あ、昨日BoomStockの発売日だった」と思い出す。

今日もいるかな、八重島。

俺はコンビニに向かった。

なんだかよく分からないけど、すごく気分が重かった。
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