男心と春の空
「はまちゃんは?」

突然アキナが見てきた。

「え、俺?」

不意打ちに目が合って慌てる。

「俺はバイトかな。大体バイト入ってたから、どこにも行ってない。」

俺の答えに「えー」と笑う。

なんだろう。

「そんなんじゃ彼女寂しがるでしょ。」

彼女。

俺は少し思い当たりがあった。

「ああ、まあ。」

低いテンションで答える。

「恋人たちは旅行に行くもんじゃないの。」

そう言ってアキナは俺の腕を肘で突いてきた。

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