男心と春の空
そして俺が高2になった頃、お母さんのアクセサリーが少しずつ雑誌に載ったり口コミで広がったりして、起動に乗り始めた。

今思えばあの頃、お母さんは脚本家の高松大介と出会ったのだろう。

出会いのキッカケは何か知らない。
とにかく二人はすぐに恋に落ちた。

ちなみに、アクセサリーブランドの名前「aqua」の由来が、前のお父さんと俺の名前だということは高松大介には内緒にしていた。

俺のお父さんの名前は瑞希で、俺は海。

海水系で付けられた名前だ。

そんなこんなで去年の春休み、俺が大学に上がる頃に親たちは再婚した。

俺はその時初めて高松大介の存在を知り、そして初めて「高松雄介」が俺のお兄さんとなることを知ったのだ。

そして再婚してすぐに親たちは俺たちを残してあっけなく死んだ。

新婚旅行で大量のお酒を飲んで車を走らせたらしい。

とてもとても楽しんでいたようだ。
その様子は容易に思い描ける。

山の急な傾斜を転がり落ちていって二人とも即死。

俺にとって最悪な春となった。

< 6 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop