男心と春の空
高松雄介2
始発で家に帰ってきた。
結局軽く矢野英子の部屋で寝てきた。

家に入ると、誰も帰ってきてない空気があった。

高松雄介、昨日も帰ってなかったんだ。
もしかしたら、シャワーだけ浴びてすぐに仕事に行ったのかもしれない。

いつ帰ってきて、いつ出掛けていくのか、時間帯が全く合わなくなっていた。

夫婦なら離婚だ。

高松雄介出演の映画が今年3本公開される。

すごい人気の上がりっぷり。

テレビをつけても、それがドラマだろうとバラエティだろうと顔を見るようになっていた。

書店に並ぶ雑誌を見れば、それが女性向けだろうと男性向けだろうと同じ顔が並んでいた。

夏からのドラマにも決まっている。

とにかく注目の俳優の一人だ。

ここんところ同じ家に住んでいてもほとんど会ってなかったが、パスタやパンのストックが切らされることはなかった。
こういうところ、すごくちゃんと出来る人間なんだ。

俺の分までしっかり余裕あるように買われている。

1年一緒に住んでいるけど、俺はほとんど家事をしていなかった。

高松雄介の不在が続くようになって、仕方なく生きていくために家事をする。

要らない家事はしない。

コンビニご飯でも何ら問題はない。
俺を心配してくれる親がいないのだから。

グラノーラに牛乳をかける。
完璧な朝ご飯。

まだもう少し寝たい。

今日はバイト午後からだし、一休みしよう。

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