男心と春の空
この夏はバイトだけで終わりそうだ。

ふと同じ屋根の下に暮らしてる住人とのギャップに悩みそうになる。

眩しくて、遠過ぎて、俺は一度も兄だと思えたことなんてない。

ずっと壁を感じながら、でも高松雄介を頼ることなく一人暮らしする余裕はなく、一緒に住んでいた。

高松雄介が俺と同じくらいの頃、すでにモデルとして軌道に乗っていた。

有名脚本家と女優の間にできた息子ってことで業界がめっちゃ狙ってたことは分かる。

でもそれは七光りを上回るカッコ良さで、期待を簡単に超えてきた。

初めてBoomStockでその顔を見た時のガツンと心を撃たれた感じ。
その時、素直にかっこよくて憧れた。

まさか兄になるなんて。

俳優としても成功しちゃうんだもんな。

俺は一体何やってんだろう。
血が繋がってないのだから仕方ない。

俺は俺の人生を生きる。

そんな大袈裟なことを思いながら、二度目の眠りに就いた。
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