男心と春の空
樋川
夏休み中の学食。
プレゼミの課題をやるために、久しぶりに野山と樋川に会う。
「よー」
「おう」
かろうじて数人チラホラと人はいる。
みんな卒論や就活で忙しい4年ばっかりだ。
閑散とした学食でど真ん中の席を取って二人は座っていた。
「なんかやった?」
俺が席に腰掛けながら聞く。
「やってない。」
樋川がすぐに答える。
野山はひたすらタブレットを弄ってる。
「野山、お前、結構やってるだろ。」
俺がそう言って野山のタブレットをサッと奪い取ると、かなり書き進められた論文と思われるものが画面全体に映ってた。
「のーやーまー、さすがー」
俺はそう言いながら最初から読もうとする。
「読むなよ、まだザックリ書いてるだけで下書き状態だし」
野山がタブレットを奪い取った。
ザッと読んだ感じ、なんとなく論点が浅かったから悲しいことに参考にはならなさそうだ。
自分で頭を働かせて書くしかない。
樋川も同じことを思ってそうだった。
あっという間に12時を過ぎた。
中途半端な時間に集まったなあと時計を見ながら軽く後悔する。
「飯食った?」
俺は課題をやる前に二人に聞く。
「食ってない」
二人の声が揃った。
「俺、飯食ってからやるわ」
俺はそう言って財布だけ手にして立ち上がろうとした時。
樋川がパソコンを打ちながら小さく呟いた。
「俺、今日はアキナちゃんと昼飯約束してんだ。」
は?
少し時間が固まる。
「はまちゃんも来る?」
樋川はパソコンをカタカタ打ち続けながら、そう俺に聞く。
「いや、邪魔じゃん」
樋川を見ていた視線が、自分の足元まで落ちてくる。
汚いサンダル。
テスト勉強した図書館以来、全然アキナと会ってなかった。
俺も行く、って気軽に言えたらいいんだけど、樋川とアキナのデートなのかな、と思うと言えるわけがない。
「別に気を遣わなくてもいいよ。たぶんはまちゃんも来るって言ったら喜ぶし。」
樋川からいつもの高いテンションが感じられない。
パソコンから顔を離さない樋川。
プレゼミの課題をやるために、久しぶりに野山と樋川に会う。
「よー」
「おう」
かろうじて数人チラホラと人はいる。
みんな卒論や就活で忙しい4年ばっかりだ。
閑散とした学食でど真ん中の席を取って二人は座っていた。
「なんかやった?」
俺が席に腰掛けながら聞く。
「やってない。」
樋川がすぐに答える。
野山はひたすらタブレットを弄ってる。
「野山、お前、結構やってるだろ。」
俺がそう言って野山のタブレットをサッと奪い取ると、かなり書き進められた論文と思われるものが画面全体に映ってた。
「のーやーまー、さすがー」
俺はそう言いながら最初から読もうとする。
「読むなよ、まだザックリ書いてるだけで下書き状態だし」
野山がタブレットを奪い取った。
ザッと読んだ感じ、なんとなく論点が浅かったから悲しいことに参考にはならなさそうだ。
自分で頭を働かせて書くしかない。
樋川も同じことを思ってそうだった。
あっという間に12時を過ぎた。
中途半端な時間に集まったなあと時計を見ながら軽く後悔する。
「飯食った?」
俺は課題をやる前に二人に聞く。
「食ってない」
二人の声が揃った。
「俺、飯食ってからやるわ」
俺はそう言って財布だけ手にして立ち上がろうとした時。
樋川がパソコンを打ちながら小さく呟いた。
「俺、今日はアキナちゃんと昼飯約束してんだ。」
は?
少し時間が固まる。
「はまちゃんも来る?」
樋川はパソコンをカタカタ打ち続けながら、そう俺に聞く。
「いや、邪魔じゃん」
樋川を見ていた視線が、自分の足元まで落ちてくる。
汚いサンダル。
テスト勉強した図書館以来、全然アキナと会ってなかった。
俺も行く、って気軽に言えたらいいんだけど、樋川とアキナのデートなのかな、と思うと言えるわけがない。
「別に気を遣わなくてもいいよ。たぶんはまちゃんも来るって言ったら喜ぶし。」
樋川からいつもの高いテンションが感じられない。
パソコンから顔を離さない樋川。