男心と春の空
夏の終わり
大学の夏休みは長い。
来年からのゼミを決めるための課題が終わらないでいた。
課題の出来によって結構シビアに落とされると噂で聞いていたから、たまにバイトのない日やバイトまでの時間は学校の図書館に通う。
夏休み中の図書館はテスト期間中とは全然違って誰もいない。
大好きな空間に俺だけ。
贅沢な時間だった。
夏ももうそろそろ終わりを感じる。
調べ物をしながらレポートを進めていた時、スマホが鳴る。
チラッと画面に目をやると、「弥生ちゃん」の文字。
珍しく電話だった。
電話、いつぶりだろう。
俺はゆっくりスマホを持って立ち上がった。
電話できる場所、いったん図書館から出ないとダメかな。
ウロウロしてる間も右手の中で震え続ける。
なぜ電話で話そうと思ったのか、自分でも分からないけど、そろそろちゃんと言わなきゃと思った。
図書館の外に出る。
重いドアを開けた途端にムッとくる蒸された空気。
あっちぃ。
「はいよ。」
俺が出ると、少し驚いた様子が受話器越しに伝わってきた。
「ビックリした。」
久しぶりに聞く弥生ちゃんの声。
「どうした?」
そんなことを言いながら、ああ、8月よりは暑さは少しマシになったなと感じる。
「ううん、ただ、どうしてんのかなと思って。生存確認。」
「うん、生きてるよ。」
「良かった。」
意外と淡々と柔らかい声だった。
「そっちは?元気?」
俺も聞き返す。
「うん、元気だよ。」
そんな弥生ちゃんの声。
「そっか、よかった。」
自然と安堵が出た。
少しの沈黙。
木漏れ日が俺の足元でチラチラと動く。
本当にキレイだなあ。
視線を斜め上に向けると、なるほど、この葉の隙間を通ればこんな木漏れ日になるのか、なんてどうでもいいことに気付く。
「弥生ちゃんさ、」
とりあえず、言ってしまおう。
葉と葉の隙間から太陽が覗いて急に眩しさを感じた。
「うん。」
「俺たち、別れませんか。」
ゆっくり息を吸う。
そして鼻から吐き出す。
告白の時とはまた違った緊張感。
きっと弥生ちゃんもそんな感じかもしれない。
来年からのゼミを決めるための課題が終わらないでいた。
課題の出来によって結構シビアに落とされると噂で聞いていたから、たまにバイトのない日やバイトまでの時間は学校の図書館に通う。
夏休み中の図書館はテスト期間中とは全然違って誰もいない。
大好きな空間に俺だけ。
贅沢な時間だった。
夏ももうそろそろ終わりを感じる。
調べ物をしながらレポートを進めていた時、スマホが鳴る。
チラッと画面に目をやると、「弥生ちゃん」の文字。
珍しく電話だった。
電話、いつぶりだろう。
俺はゆっくりスマホを持って立ち上がった。
電話できる場所、いったん図書館から出ないとダメかな。
ウロウロしてる間も右手の中で震え続ける。
なぜ電話で話そうと思ったのか、自分でも分からないけど、そろそろちゃんと言わなきゃと思った。
図書館の外に出る。
重いドアを開けた途端にムッとくる蒸された空気。
あっちぃ。
「はいよ。」
俺が出ると、少し驚いた様子が受話器越しに伝わってきた。
「ビックリした。」
久しぶりに聞く弥生ちゃんの声。
「どうした?」
そんなことを言いながら、ああ、8月よりは暑さは少しマシになったなと感じる。
「ううん、ただ、どうしてんのかなと思って。生存確認。」
「うん、生きてるよ。」
「良かった。」
意外と淡々と柔らかい声だった。
「そっちは?元気?」
俺も聞き返す。
「うん、元気だよ。」
そんな弥生ちゃんの声。
「そっか、よかった。」
自然と安堵が出た。
少しの沈黙。
木漏れ日が俺の足元でチラチラと動く。
本当にキレイだなあ。
視線を斜め上に向けると、なるほど、この葉の隙間を通ればこんな木漏れ日になるのか、なんてどうでもいいことに気付く。
「弥生ちゃんさ、」
とりあえず、言ってしまおう。
葉と葉の隙間から太陽が覗いて急に眩しさを感じた。
「うん。」
「俺たち、別れませんか。」
ゆっくり息を吸う。
そして鼻から吐き出す。
告白の時とはまた違った緊張感。
きっと弥生ちゃんもそんな感じかもしれない。