男心と春の空
お尻が痛くなってきた頃、やっと講義が終わった。

鐘の音でみんながザワザワと席を立つ準備をする。

俺もペンをしまっていたところだった。

「昼飯、俺アキナちゃんと約束してるから。」

樋川がノートを仕舞いながらそう言ってきた。

えっ、って頭の中では思ったけど、俺は「おっ、了解。」と軽く答えた。

この間みたいに、樋川だけが先に立ち上がる。

野山が「どこで食うの?」って野暮なことを聞く。

「どこだっていいじゃん。」

樋川は笑った。
そりゃそうだ。

樋川は颯爽と通路の階段を登って講義室を出て行った。

なんかモヤッとする。

俺は何してんだろう。

敢えて時間を遅らせて野山と学食行ったけど、そこには樋川とアキナはいなかった。

豚骨ラーメンの味がしない。

午後の講義、樋川は欠席した。
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