男心と春の空
「海くんってたまらないよね。」
「なにが。」
「すごく食べたくなる。」

そう言って矢野英子は、途中寄ったコンビニで二人で選んだコンドームを慣れた手つきで着けてくれる。
すごい薄いやつ。

装着されてる間、俺の手は矢野英子の髪を撫でていた。

二人でベッドに倒れ込む。
俺には贅沢過ぎる矢野英子の身体。

弥生ちゃんよりも緩やかに凹凸があって、柔らかくて、語彙力がない俺は「すごい」と思った。

触ってるだけで気持ちよかった。
もちろん中も気持ちよかった。

まじか、高松雄介はこの体を振ったのかよ。

そんなことをふと思い出した。

何度も体位を変えまくって、最後お互いに訳も分からないくらい激しく動き合ってイッた。

「海くん、若いね。」
「え、なんで。」

俺が後処理をしていたら、突然矢野英子が暗闇で呟いた。
矢野英子が俺の目を見る。

「動きが激しい。」

そう言って矢野英子は余裕のある表情で微笑んだ。
バカにされてるような、可愛がられてるような、そんな口調。

「高松雄介はもっと優しいんですか。」
「なんでそんなこと聞くの。」
「多分、思い出してたんじゃないかと思って。」

俺たちはそれぞれ2本目のお酒を開ける。

適当に下着を着て、ベッドから降りてまた乾杯をする。

「言わない。」

矢野英子は谷間が見えそうなゆるいTシャツを着てハイボールを飲む。
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