サヨナラなんて言わない。
「何?蓮花どうした?」

突然腕を掴んで来たら私を心配そうに見る晴。

そんな晴を私は真っ直ぐ見つめる。

そして、深呼吸してをひとつした。

「私ね、晴が好きだった。ずっと…」

私が笑ってそう言うと晴は何も答えなかった。少しの間の後、私の前で背中向けてしゃがみ、乗れといった。

私はその言葉に従い、晴の背中にのった。

私は晴に初めておんぶされたのだ。

「あの…晴…私告白したんだけど…」

「うん。俺、お前のこと大事だよ。」

私をのっけたまま、晴は答えた。

病室のドアを開け、廊下を歩く。

廊下には人がおらず、日が落ちているため暗かった。

まるで晴と私2人だけの世界のようだった。
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