サヨナラなんて言わない。
そう自分に言い聞かせ、涙を抑えようとした。

その時

「れ…んか…ちゃん?」

小さく、でもはっきりと私の耳にさっちゃんの声が届いた。

さっちゃんを見ると私に笑いかけていた。いつもの笑顔で…

「さっちゃん!起きたんだ、大丈夫?」

「蓮花ちゃん…ありがとう…」

「え?何が?」

「いまま…で、一緒に…過ごして…くれて…短い…時間…だったけど…楽しかったよ…」

「何言ってんの?そんな最後の別れみたいな…」

私がそう言うと後ろにいたお母さんが泣き崩れた。
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