サヨナラなんて言わない。
私はその手をとり、握る。

すると、さっちゃんもしっかり握り返してくれた。

「蓮花ちゃんには…言うね…」

「さっちゃん、やだよ。聞きたくない…」

私がそう言うと、さっちゃんは1粒の涙を流した。

そしてぎゅっと手を握り直し、私を見つめた。

「蓮花ちゃん、ありがとう。出会えて…ほんとうに…よかっ…た…」

言葉を最後まで言い終えると、さっちゃんは目を閉じた。

それと同時にさっちゃんの手から力が抜けたのが分かった。

「さっちゃん?どうしたの?目を開けてよ…さっちゃん!」

私がさっちゃんに大きな声で呼びかけると同じタイミングでピーーという機械音がなる。
< 82 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop