幸せにしたいのは君だけ
「佳奈が告白してくれるなんて思わなかった」


長いキスの後、彼が私の髪を撫でながら呟く。


「……私も、きちんと気持ちを伝えたかったの」

「うん、ありがとう」


優しい仕草で彼が額に口づける。


「おかげで疲れも眠気もふっとんだよ」

「そ、そんなわけは……!」

「本当。佳奈は俺のなによりの癒しだよ」

「で、でも、今日は無理をしないで」

「ハイハイ」


クスリと漏らすその声もとても甘い。

なんでこんなに恥ずかし気もなく言えるのだろう。


以前から私への言葉や仕草はとても優しく甘かったけれど、気持ちを伝えた今はそれに拍車がかかっている気がする。

もちろん嫌ではない。

ただ、恥ずかしいのだ。

まるで自分がお姫様のように大切にされて、どうしていいかわからなくなる。


「本当なら自宅に連れ込んで、一日腕の中に閉じ込めておきたいけど」

「け、圭太さん!」

「わかってる。今日はやめておく。佳奈に渡したいものもあるし、庭園もすぐそばだし」


しれっと言い放つ。

今日はってなに、今日はって……!


すでに私の心臓は壊れそうだ。

まったくどこまで本気なのかわからない。


しかもここは外なのだ。

確かに今、人影はないとはいえ、誰が見ているかもわからない。

その事実に今さらながら気づいて慌てて離れようとすると、グッと腰に腕が回された。
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