幸せにしたいのは君だけ
「だから、佳奈の考えや想い、不安はどんな些細なものでも構わないから俺に伝えて。きちんと言葉にしてほしい。そうじゃなきゃ、きっと俺は気づかないから。俺の知らない場所で佳奈がひとりで泣いていたり、つらい想いを抱えるのは嫌なんだ」


真摯な声に大きく頷く。

その瞬間、ホッと頭上から安心したような声が漏れた。


「圭太さんもきちんと伝えてね」

「もちろん」


頭頂部に小さなキスが落とされる。

心の中が温かくて胸がいっぱいになる。

好きな人と気持ちが通じるというのが、こんなにも幸せで温かいものだとは知らなかった。


「佳奈に渡したいものがあるんだ」


そう言って、彼が少し身体を離す。

バッグから小さな箱を取り出す。


「ずいぶん遅れてしまったけれど、クリスマスプレゼント」

「えっ、いいの?」

「ああ、本当は佳奈と一緒に選びたかったけど、時間がなくてできなかったから。その代わり、誕生日やその先はずっと一緒に選ぼう」


その先、という単語がくすぐったい。

私との未来を当たり前のように考えてくれる姿勢に、再び泣きたくなった。


「開けてみて」


私の手の上に乗せられた水色の箱。

リボンをそっとほどくと、小さな花をあしらったネックレスが現れた。


「わあ……」

「貸して、つけるから」

「で、でもこんな高価なもの……!」
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