幸せにしたいのは君だけ
今すぐ打ち合わせを放りだして彼女の元に向かいたくなる。

これまで仕事以上に優先すべき事柄は幼馴染みの一大事くらいしかなかったのに。

それさえも冷静に仕事の段取りはできていた。


なのに今は無理だ。

イラ立って仕方がない。

その瞬間、心の中でなにかがストンと落ちた気がした。


ああ、そうか。

俺は佳奈が好きなんだ。

こんなに気になるのも、独り占めしたくて、会いたくて仕方ないのも――彼女に恋をしてしまったから。


その後、乗り込んだ合コンで目にしたのは、佳奈を狙っている男たちの鬱陶しい視線。


――佳奈は俺のものだ。


俺以外の男が下手な希望を抱かないように、しっかりと見せつける。

そのためにここまで来たんだから。


腕に抱きしめた瞬間、心が満たされた。

こんな想いを俺に与えてくれるのは彼女しかいない。
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