幸せにしたいのは君だけ
「今も、好きなんでしょう?」
私よりも誰よりも。
「大事なんでしょう?」
一番優先したい人なんでしょう?
「……諦めたいから、代わりに好きになれそうな人を探していただけなんでしょう?」
“私”を望んだわけじゃない。
たまたま都合がよかっただけ。
胸の奥がヒリヒリ痛い。
「……ずっとそう思ってたのか?」
怖いくらいに淡々とした口調で聞き返される。
「俺が佳奈に伝えた気持ち全てを――信じてなかったのか?」
信じていなかったわけじゃない。
疑っていたわけじゃない。
ただわからなくなった、この人の本心が。
でも今となっては、それをどう伝えたらいいのかさえも、わからない。
私たちの間に入ってしまった決定的な亀裂。
その修復の仕方がもう見つからない。
即答できない私に、彼は諦めたような表情を浮かべる。
クシャリと髪をかき上げた。
「だから、なのか? 同棲の返事もしないのは……」
「違う、そうじゃなくて……!」
「なにが違う?」
「圭太さんは、なんでウソをついたの?」
「ウソ?」
「クリスマス、日本にいたんでしょう?」
「……知ってたのか?」
それは決定的な肯定。
ズキリと胸が軋む。
「知ってたなら、なんで言わないんだ?」
「どうやって尋ねるの? クリスマスは帰らないって言ってたくせに、澪さんに会うのって聞けばよかったの?」
「だから、なんでそこに澪が出てくるんだよ。この時の帰国に、澪は関係ない」
ムッとしたように返答する彼。
売り言葉に買い言葉。
ああ、この人は。
こんな時ですら幼馴染みをかばう。
私の中でなにかの糸がぷつりと切れた気がした。
私よりも誰よりも。
「大事なんでしょう?」
一番優先したい人なんでしょう?
「……諦めたいから、代わりに好きになれそうな人を探していただけなんでしょう?」
“私”を望んだわけじゃない。
たまたま都合がよかっただけ。
胸の奥がヒリヒリ痛い。
「……ずっとそう思ってたのか?」
怖いくらいに淡々とした口調で聞き返される。
「俺が佳奈に伝えた気持ち全てを――信じてなかったのか?」
信じていなかったわけじゃない。
疑っていたわけじゃない。
ただわからなくなった、この人の本心が。
でも今となっては、それをどう伝えたらいいのかさえも、わからない。
私たちの間に入ってしまった決定的な亀裂。
その修復の仕方がもう見つからない。
即答できない私に、彼は諦めたような表情を浮かべる。
クシャリと髪をかき上げた。
「だから、なのか? 同棲の返事もしないのは……」
「違う、そうじゃなくて……!」
「なにが違う?」
「圭太さんは、なんでウソをついたの?」
「ウソ?」
「クリスマス、日本にいたんでしょう?」
「……知ってたのか?」
それは決定的な肯定。
ズキリと胸が軋む。
「知ってたなら、なんで言わないんだ?」
「どうやって尋ねるの? クリスマスは帰らないって言ってたくせに、澪さんに会うのって聞けばよかったの?」
「だから、なんでそこに澪が出てくるんだよ。この時の帰国に、澪は関係ない」
ムッとしたように返答する彼。
売り言葉に買い言葉。
ああ、この人は。
こんな時ですら幼馴染みをかばう。
私の中でなにかの糸がぷつりと切れた気がした。