幸せにしたいのは君だけ
9.どうしても好きな人
「佳奈ちゃん! 大丈夫?」
車から降りると、白のロングニットワンピースに厚手のストールを羽織った澪さんが駆け寄ってきた。
垂れ目がちの二重の目が心配そうに私を見つめる。
「だ、大丈夫です。すみません、こんな時間に……しかも副社長に送っていただいて」
「そんなの気にしないで。大事な後輩の一大事だもの」
「でも……」
「いいから、寒いし疲れたでしょう? ほら遠慮せずに中に入って」
「澪、こんな時間にひとりで外に出るな。危ないだろう」
車から降りてきた副社長が、眉間に皺を寄せる。
「実家の家の前は外ではないわ。遥さん、心配しすぎよ。佳奈ちゃんを送ってきてくれてありがとう」
「……圭太には借りがあるからな」
「そうね、桃子さんの時に助けてもらったもの」
副社長夫妻は仲良さげに言葉を交わす。
話の展開が見えない。
「あの、澪さん……?」
「ああ、気にしないで。後で話すから」
にっこりと口元を綻ばせる澪さん。
「俺はアイツに会ってくる。さっきから何度も電話がかかってきているからな」
「もう少し焦らしてもよかったんだけど。可愛い後輩を泣かせたんだから。まったく本命にはこんなに情けないなんて」
「……澪」
「わかってる。お願いね、遥さん」
ほんの少し不服そうに澪さんが返事をする。
副社長は困ったように片眉を下げる。
車から降りると、白のロングニットワンピースに厚手のストールを羽織った澪さんが駆け寄ってきた。
垂れ目がちの二重の目が心配そうに私を見つめる。
「だ、大丈夫です。すみません、こんな時間に……しかも副社長に送っていただいて」
「そんなの気にしないで。大事な後輩の一大事だもの」
「でも……」
「いいから、寒いし疲れたでしょう? ほら遠慮せずに中に入って」
「澪、こんな時間にひとりで外に出るな。危ないだろう」
車から降りてきた副社長が、眉間に皺を寄せる。
「実家の家の前は外ではないわ。遥さん、心配しすぎよ。佳奈ちゃんを送ってきてくれてありがとう」
「……圭太には借りがあるからな」
「そうね、桃子さんの時に助けてもらったもの」
副社長夫妻は仲良さげに言葉を交わす。
話の展開が見えない。
「あの、澪さん……?」
「ああ、気にしないで。後で話すから」
にっこりと口元を綻ばせる澪さん。
「俺はアイツに会ってくる。さっきから何度も電話がかかってきているからな」
「もう少し焦らしてもよかったんだけど。可愛い後輩を泣かせたんだから。まったく本命にはこんなに情けないなんて」
「……澪」
「わかってる。お願いね、遥さん」
ほんの少し不服そうに澪さんが返事をする。
副社長は困ったように片眉を下げる。