幸せにしたいのは君だけ
ああ、なんて言えばいいだろう? 

それこそが誤解だと伝えたらいい? 

でも、すでに結婚し、最愛の旦那様との人生を歩んでいる先輩に、勝手に彼の気持ちを伝えていいのだろうか?


「私も、幼馴染みが大事よ。だって、それこそ姉弟のように育ってきたんだもの。心から好きな人と幸せになってほしいと思ってる。だって、圭太は今まで誰にも本気にならなかったから」


それは澪さんを好きだったからでは……?


私の心中を察したのか、心優しい先輩はフッと眦を下げる。


「遥さんにもね、散々それらしきことは言われたの。でも本当に違うの。あくまでも家族愛のような、親愛の気持ちなのよ。それ以上でも以下でもない」


きっぱり言い切る澪さんの目には迷いがなく、ウソをついているようには見えなかった。


「……誰かを本気で好きになったら、考えもしなかった不安や疑う気持ちが出てくる時だってあるわ。でも、それは本人にぶつけなきゃどうしようもないの」

「だけど、私はもう……」

「“本心は本人にしかわからない。恋人同士でも口にしなきゃわからない出来事なんて無数にある。恋人は神様じゃないし、恋愛はドラマみたいにカッコよく進まない”」

「え?」
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