幸せにしたいのは君だけ
「佳奈ちゃん、どうする? どうやら相当諦めが悪いみたいだけど」
ほんの少し振り返って、困ったような口調で問いかけられる。
でもその目はとても優しい。
「澪さん、ありがとうございます。きちんと話します」
「わかった。もしなにかあったら私が代わりに怒るから、遠慮なく言ってね。圭太、私の可愛い後輩を今度泣かせたら許さないわよ」
「……当り前だろ。もう泣かせない」
厳しい表情の澪さんにはっきり言い切る。
その目には真摯な光が宿る。
「佳奈、来て」
ふわりと甘い声が耳を震わせる。
その声に泣きたくなった。
「行ってらっしゃい」
トンと澪さんが私の身体を彼に向かって押し出した。
ほんの少しバランスを崩した私を圭太さんがしっかりと抱きとめてくれた。
大好きな慣れた香りに身体が包まれる。
鼓動が小さく跳ねた。
名残惜しそうに身体を離した圭太さんが、ギュッと私の左手に長い指を絡めてきた。
「行こう」
その声に小さく頷く。
「あの、ありがとうございます。失礼します」
副社長の横を通りすぎる時、小さくお礼を告げる。
「礼は不要だ」
端的に返事をされた。
けれどその目は澪さんと同様にとても優しかった。
見守っていてくれる人の温かさと親切に胸がいっぱいになった。
週末の深夜、私のために時間を費やしてくれたふたりには感謝の気持ちでいっぱいだ。
多大なる迷惑をかけてしまったというのに嫌な顔ひとつせずに、逆に心配までしてくれたのだから。
本当に澪さんには敵わない。
憧れの先輩はやはりとてもカッコよくて、素晴らしい女性だと思う。
ほんの少し振り返って、困ったような口調で問いかけられる。
でもその目はとても優しい。
「澪さん、ありがとうございます。きちんと話します」
「わかった。もしなにかあったら私が代わりに怒るから、遠慮なく言ってね。圭太、私の可愛い後輩を今度泣かせたら許さないわよ」
「……当り前だろ。もう泣かせない」
厳しい表情の澪さんにはっきり言い切る。
その目には真摯な光が宿る。
「佳奈、来て」
ふわりと甘い声が耳を震わせる。
その声に泣きたくなった。
「行ってらっしゃい」
トンと澪さんが私の身体を彼に向かって押し出した。
ほんの少しバランスを崩した私を圭太さんがしっかりと抱きとめてくれた。
大好きな慣れた香りに身体が包まれる。
鼓動が小さく跳ねた。
名残惜しそうに身体を離した圭太さんが、ギュッと私の左手に長い指を絡めてきた。
「行こう」
その声に小さく頷く。
「あの、ありがとうございます。失礼します」
副社長の横を通りすぎる時、小さくお礼を告げる。
「礼は不要だ」
端的に返事をされた。
けれどその目は澪さんと同様にとても優しかった。
見守っていてくれる人の温かさと親切に胸がいっぱいになった。
週末の深夜、私のために時間を費やしてくれたふたりには感謝の気持ちでいっぱいだ。
多大なる迷惑をかけてしまったというのに嫌な顔ひとつせずに、逆に心配までしてくれたのだから。
本当に澪さんには敵わない。
憧れの先輩はやはりとてもカッコよくて、素晴らしい女性だと思う。