幸せにしたいのは君だけ
圭太さんってこんなに強引で甘い人だった? 

周囲からは誰に対しても優しく親切でそれこそ王子様かなにかのように言われていたのに。

あまりのイメージの違いに、今さらながらドキドキしてしまう。


「佳奈?」

「ううん、その、あまりに今までの圭太さんと違う気がして……」

「ああ、一応佳奈より年上だし、カッコつけてたからね。でも先輩に指摘されてやめた。本当、あの人には敵わない」

「指摘?」

「本気で好きな相手には情けなくなるものだろって、さ」


“本気で好きな相手”という言葉に胸が高鳴った。


「今まで誰とも付き合った経験がないとは言わない。好意をもった人もいた。でも佳奈に出会って、こんなにも誰かを求める気持ちを初めて知った――俺の全部で佳奈を愛してる」


呼吸が止まった気がした。

この人はどれだけ私に幸せな涙を流させるの?


どこまでも真っ直ぐに私への想いを伝えてくれる彼が愛しくて仕方ない。

どうして諦められるなんて思ったんだろう。

こんなにも心がこの人でいっぱいなのに。


私も素直に気持ちを、疑問を、不安を伝えなくちゃ。

この人の前では正直でいたい。
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