幸せにしたいのは君だけ
街中がカラフルなイルミネーションであふれかえる。

どこからか陽気なクリスマスソングも聞こえてくる。


今日はクリスマスイブ。

私は千埜と、例の如く女子会をしていた。


親友が以前から行きたがっていた、肉料理が評判のレストランはたくさんの客で賑わっている。

親友の素晴らしい手腕のおかげで、確保できた窓際のテーブル席にふたりで座り、街ゆく人を眺める。

皆、どこか幸せそうな様子で歩いているように見える。


今日はここに来る前に、親友に圭太さんへのクリスマスプレゼントを一緒に選んでもらった。

クリスマスは一緒に過ごせないけれど、年明けに会った時に渡したい。


正式に恋人になったわけでもないのに、プレゼントを贈るなんて図々しいだろうかと何度も迷ったのだけれど。

思い切りのいい親友に、悩みすぎと一蹴され、色々な商品を手に取って再び悩んだ。


そもそも私は彼に高価な品をたくさん贈ってもらっている。

なので、そのお礼も兼ねて渡せば不自然じゃないし……なんて性懲りもなく自分への言い訳を作ってしまう私は本当に卑怯で意気地がない。


異性への贈り物ひとつにここまで悩んだ経験はない。

彼といるとすべてが初めての出来事だらけで、調子が狂う。

これが心から誰かを好きになるということだろうか。


親友はそんな私を呆れたように眺めながら、『今の佳奈のほうが佳奈らしくて、私は好きよ』と言ってくれていた。
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