幸せにしたいのは君だけ
「千埜、今日クリスマス婚活パーティーだったんじゃないの?」

「そうだけど、行くのやめたの」


ワイングラスを片手に千埜が肩を竦める。


「なんで? もしかして私のため?」

「まさか。そんな殊勝な真似しないわ。それでなくても、誰かさんは王子様への告白を渋ってるし。どれだけあまのじゃくなのよ」

「失礼ね」

「だってそうでしょ。いい加減、素直にならなかったらフラれるわよ」

「わかってる。……年明けに会ったらちゃんと告白しようって思ってる」


何度も何度も考えて、悩んで、やっと出した結論。

彼がこれまでに出会ったどんな男性とも違っているから、物珍しくて惹かれているだけじゃないか、強引さに惑わされているだけじゃないか、と何回も自問自答した。

今は私に興味を持ってくれていても、始まりが速い展開だっただけにすぐ飽きられるんじゃないかと怖くもなった。

自分の魅力を過信できるほど私は強くない。


それでも。

何度、気持ちを誤魔化そうとしても。

何回、否定しても。

どうしても圭太さんに惹かれる気持ちは止められなかった。

こんなにも会いたくて、そばにいたいと願った人はいなかった。


だから覚悟を決めた。

素直な想いを伝えようと。


私は圭太さんが――好きだ。
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