紡ぐべき糸
聡の地元では 東京に出る人は 少ない。
みんな 何となく 地元で 生活していく。
聡も それで良いと思っていた。
美咲が 東京へ行くと 聞くまでは。
「俺は このままずっと 狭い世界で 生きていくのか。」
聡は ため息混じりに言った。
中学時代 美咲のことが 気になっていた理由が 聡は 何となく 解ったような気がした。
美咲は まわりに 流されなかった。
ぶれない 信念のようなものを 聡は 美咲から 感じたのかもしれない。
美咲は 誰にも 媚びないで 夢に向かって 努力していた。
その姿が 聡の心を 揺さぶった。
聡のように 狭い世界で 満足しないで もっと 高い場所を ゴールに決めて 努力していた。
放課後 一人で 黙々と 走っていた時のように。