紡ぐべき糸

高校も短大も 女子校で 啓子は 一度も 恋をしたことがなかった。
 

「好きかどうか よくわからないの。」

少し俯いて 啓子は 小さく答える。
 

「そういう気持ちに なることが 大切だよ。いいなあ。私の会社 素敵な人なんて 全然いないよ。」

美穂は つまらなそうに言う。


毎日 聡を見ることが 啓子は 楽しみだった。


聡の明るい笑顔は 啓子を 元気にしてくれる。


聡が 不機嫌に 黙り込んでいる姿を 啓子は 一度も見たことがない。



自然と 自分の感情を コントロールしている聡を 啓子は すごいと思っていた。
 


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