紡ぐべき糸

「ねえ、美穂ちゃん。好きでもない人に 告白されたら 迷惑かな。」

啓子は 美穂に聞く。


お正月休み明け 仕事帰りに 二人は 食事をしていた。
 

「啓ちゃん 告白するの?」

美穂は 驚いた顔で 聞き返す。
 

「何か 自分が嫌になって。変わりたいの。」

啓子は 少し俯いて でも強く言う。
 

「そうか。そうだよね。私達 高校生の頃と 全く 変わってないよね。」

美穂も しんみりと答える。
 

「一歩 踏み出したら 私、変われるかな と思って。でも 迷惑だよね。」

啓子は 寂しそうに笑う。
 

「そうかな。好きって言われて 迷惑な人なんている?」

美穂は 明るく言う。
 

「私のこと 何とも思ってなくても?」

啓子が言うと 美穂は微笑んで 
 

「それをきっかけに 啓ちゃんのこと 認めてくれるかも しれないじゃない。」

と前向きに答えた。




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