紡ぐべき糸
「ううん。それはないよ。すごく モテそうな人だから。フラれてもいいの。私が 変わるきっかけになれば。」
啓子の言葉に、
「啓ちゃん、強くなったね。もう 変わり始めているよ。すごいな 恋するって。」
と美穂は言う。
「やだ 美穂ちゃん。でも 何かね。成長したいなって この頃思うんだ。」
と啓子は しみじみと言った。
「でも どうやって 告白するの?」
恋に 慣れていない二人だから。
美穂は 心配そうに啓子を見る。
「バレンタインデーに。チョコを渡そうと思って。」
啓子は 真剣な顔で 答える。
「ああ。もうすぐ バレンタインデーだね。啓ちゃん、初バレンタインだね。」
と美穂は 笑顔で言う。
「そう。初告白で 初失恋。」
啓子の自虐的な言葉に、
「もう。告白する前から そんなことじゃ 駄目だよ。前向きになるんでしょう。」
と美穂に励まされる。
「ありがとう。でも フラれたら 美穂ちゃん 慰めてね。」
啓子は明るく言う。
「うん。任せて。フラれるだけ マシだよ。私なんて その相手も いないんだから。」
と美穂も 自虐的に言い 二人で笑った。