紡ぐべき糸

うまく 話すこともできず ただ 聡に 聞かれたことに 答えるだけの啓子。


聡は ステーキハウスに 車を停めると 慣れた動作で 先に啓子を 店に入れる。
 

「林さん いつも 大人しいの?」

料理を待ちながら 聡は言う。
 

「そんな事ないです。友達といると おしゃべりだし。親には 口ごたえもします。」

聡と 目が合うと 啓子は やっぱり 頬が熱くなってしまう。
 

「へえ。内弁慶なんだ。」

と聡は笑う。
 

「人見知りだから。慣れるのに 時間がかかるんです。」

啓子は言う。
 

聡はずっと笑顔で。


料理を 美味しそうに食べ 色々な話しを してくれる。


仕事の事、学生時代の事。

啓子も 徐々に 自然な笑顔になっていく。
 


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