紡ぐべき糸

美咲を取り巻く 女子の頭越しに 聡は 美咲と目が合った。


優しい笑顔で 聡を 見つめる美咲。


聡は 思い切って 声をかける。
 

「本城?一瞬、誰か わかんなかったよ。」

女子の輪が 開いて 聡を 迎える。
 

「でしょう。美咲 すごく 綺麗になったよね。すっかり 東京の人だよ。」

美咲の近くにいた 女子が言う。


中学時代は 特に 美咲と 仲が良かった訳でもない女子達。


聡が頷くと、
 

「そんなことないよ。大人になっただけだよ。」

と美咲は 控えめに笑う。
 

「変わったよ。眼鏡かけてないし。」

聡は 気が利いた言葉が 見つからなくて 間が抜けたことを 言ってしまう。


美咲は さっきと同じ 優しい笑顔で 聡を見て 
 

「コンタクトにしたの。」

と言った。
 

「雰囲気が 変わったのかな。」

美咲の笑顔に ドキッとして 聡は言う。
 

「そうかな。横山君も 大人になったね。」

と美咲は答えた。



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