紡ぐべき糸
翌日 美穂を 呼び出した啓子。
「啓ちゃん どうしたの。目が真っ赤だよ。」
啓子を一目見て 美穂は驚く。
「昨夜 一晩中 泣いたの。でもすっきりしたから。今日は 何か買おうかな。」
変なテンションの啓子を 心配そうに見つめる美穂。
カフェで 向かい合って 啓子は 美穂に話す。
静かに 相槌を打って 聞いていた美穂は
「啓ちゃん 偉いよ。こんな時に 横山さんを 応援できるなんて。凄いよ」
と言いながら 美穂も 少し涙汲んでいた。
「こういう時 ヤケ酒とか 飲むのかな。お酒飲めないって 損だよね。」
と微笑む啓子。
「ヤケ食いする?甘い物 食べまくる?付き合うよ。」
と笑う美穂。
「美穂ちゃん 優しいな。でも あんまり食欲ないし。高いバッグとか 買っちゃおうかな。」
と啓子は 笑ってみる。
心配そうに 見つめる美穂に 微笑みかける啓子。
確かに自分は成長した。
聡と出会ったおかげで。
今日の自分を 褒めてあげようと思いながら 油断すると 溢れてしまいそうな涙を 啓子は堪えていた。