紡ぐべき糸
いつもと同じように 聡は 明るく笑っている。
楽しく 食事をしながら 啓子は 聡の翳りを 探り続ける。
「横山さん お酒 強いんですか。」
啓子が聞くと、
「最近は あんまり 飲まないなあ。大学生の頃は 馬鹿みたいに 飲んだけど。」
と聡は 懐かしそうに微笑む。
「酔うと どうなるんですか。」
「全然 変わらないよ。俺 いくら飲んでも 覚えてないとか なったことないんだ。だから、つまらなくて。」
聡の言葉に 啓子は 意外そうに頷く。
「林さんは?お酒 強いの?」
聡に聞かれて 啓子は 首を振る。
「私 お酒 合わないみたい。すぐに 顔が真っ赤になって 頭が ガンガンしちゃうんです。」
だから ヤケ酒も 飲めなかったと思いながら 啓子は言う。
「林さん お酒飲まなくても 赤くなるじゃない。」
と聡は 悪戯っぽく笑う。
ハッとして 聡を見た啓子は 顔が 熱くなっていく。
「ほらね。」
と聡は楽しそうに笑い、