紡ぐべき糸
少し走って 聡が 車を停めたお店は おしゃれな フレンチレストラン。
いつもの ステーキハウスとは違い 若いカップルに 人気のお店だった。
車を降りて 問いかける目を向ける啓子。
聡は 静かに頷いて 店のドアを開けた。
案内された奥の席。
落ち着かなくて 咎めるように 聡を見る啓子。
料理のオーダーを 済ませた聡は ポケットから 小さな箱を 取り出した。
「誕生日おめでとう。」
と言って 小さな箱を 啓子の前に置く。
「どうして。」
啓子は 状況が理解できずに 聡の顔を見る。
「今日 誕生日でしょう。開けてみて。」
聡に 言われるまま 箱を手に取り 啓子は 銀のリボンを解く。
「わあ。」
ミントブルーの 包装紙を開くと ハートのペンダントが 入っていた。