紡ぐべき糸
神社で 手を合わせる啓子に 聡は
「ケイ 何を お願いしたの?」
と聞く。
「願い事って 誰にも 言ったらいけないんだよ。」
と啓子は 真顔で答える。
「大丈夫だよ。ケイの願いは 俺が叶えるから。」
と聡は言う。
啓子は
『ずっと 聡と一緒に いられますように』
と祈っていた。
聡の言う通り。
啓子は 笑顔になってしまう。
探るように 聡は 啓子の顔を覗く。
「だって。ずっと 聡と一緒に いられますようにって お祈りしたから。」
と啓子は 教えてしまう。
聡は 優しい目で 啓子に頷き
「俺はね、ケイと出会えて ありがとうございましたって お祈りしたよ。」
と言った。
啓子の胸を 熱い思いが満ちてくる。
肩を抱く聡の腰に 強く しがみ付く啓子。
「どうしたの。」
と聡は 甘く 啓子を抱き寄せる。
「本当に 赤ちゃん すぐに できちゃうかもね。」
と恥ずかしそうに 啓子が言うと 聡は さらに甘く 啓子を見つめ 啓子の頭を そっと撫でた。