紡ぐべき糸

「すぐ調べてみて。できていたら 全部 急がないと。」

と言う聡に 
 

「帰りに ドラックストアに寄るね。ねえ 産んでもいいの。」

啓子は 聡を見上げて聞く。
 

「当たり前でしょう。俺が 産むなって 言うと思っていたの?」

聡は 少し膨れた顔で 啓子を見る。
 

「だって。順番が違うから。聡 嫌かなと思って。」

啓子は 俯いて 小さく言う。
 

「バカだな。もしかして ケイ 一人で 心配していたの。」

啓子の目から 新しい涙が 溢れてくる。


聡は 啓子を抱き締めて、
 

「赤ちゃんできると しばらく エッチできないよ。ケイ 我慢できる。」

と啓子の目を覗く。
 

「聡の意地悪。」

啓子は 声を上げて 泣き出してしまった。
 

「大丈夫かな。こんなママで。俺も 育児休暇 取らないと駄目かな。」

と聡は 啓子の髪を撫でる。
 

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