紡ぐべき糸

いつでも 自分は 気が弱くて 緊張して。


うまく 自分を 表現できなくて。


だから 聡のように 明るく 誰とでも すぐに仲良くなれる人が 羨ましかった。
 

でも みんな 努力している。


緊張に 負けないで 思ったことを 言うために。


そうやって 自分を見せるから 周りに 受け入れられる。


緊張に負けて 自分の殻に 閉じこもっていたら 誰も 存在に 気付いてくれない。
 

「私も 聡の ご両親に会うの 緊張するけど。仲良くなれるように 頑張るね。」


啓子は 聡への 感謝を込めて 明るく言う。
 

「ありがとう。でも 無理しなくていいよ。ケイのペースでね。」

と聡は 父みたいなことを言う。
 

「ううん 大丈夫。私も これからは しっかりしないと。」

母親になるのだから。

いつまでも 甘えてばかり いられない。
 

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