紡ぐべき糸

「そうだね。ケイも ママになるからね。よーし。俺も もっと頑張るぞ。」

聡は 明るく言って 二人で笑った。
 

「赤ちゃんのことは まだ言ってないの。聡と一緒に 言おうと思って。」


啓子が言うと、
 

「お父さんに 怒られるかな。」

と聡は また 不安そうに言う。
 

「大丈夫。お父さん 私に甘いから。私の言うことは 何でも 聞いてくれるからね。」


と啓子が答えると、
 

「だからでしょう。そんなに 可愛がっていたケイのこと 俺に 取られるんだよ。」

と言う 聡の言葉で 啓子の胸は 熱くなる。
 

「そうだよね。いつか 私達も 同じ思い するんだね。」

啓子は まだ 膨らんでもいないお腹を 撫でながら言う。
 

「だから男の子がいいの。」

聡の声は 甘く響き 啓子の胸を 熱くする。
 


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