紡ぐべき糸

突然の 思いがけない抱擁。

聡は 啓子のぬくもりに 救われた。


心が温かく包まれて。
 


少し 啓子に抱かれた後で、 
 

「ありがとう。」

と言って 啓子の胸から 聡が離れると 啓子はハッとして
 

「ごめんなさい、私。」

と言った。


啓子も 自分の行動に 驚いていた。


「私 何か 横山さんが 自分と重なっちゃって。横山さんの彼女は 私にとっての 横山さんだから。」


啓子の 言った言葉に 聡は 驚いて 啓子を見る。

涙汲んで 静かに微笑む啓子。
 

「ありがとう。」


聡は それ以外 啓子に かける言葉が 浮かばなかった。
 


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