紡ぐべき糸

「お正月 温泉でも行こうか。」

聡は 急に話しを変える。


啓子は 一瞬 緊張した目をして頷く。
 

「怖いの?」

早く 啓子のすべてを 自分のものにしたい。


湧き上がる欲望に 少し戸惑いながら 聡は 甘く啓子をからかう。
 

「意地悪。」

と啓子は 目を伏せて 控えめに頷く。

啓子が 全て 初めてだということを 聡は知っているから。


「心配しなくて 大丈夫。俺 テクニシャンだから。」

聡が 笑顔で言うと
 

「えー。聡、変態。」

と責める目で 聡を見て 啓子は言った。

ケラケラ笑う聡。
 

「俺と 一夜を共にしたら ケイは 俺から離れられなくなるよ。」

聡が 更に言うと 啓子は頬を膨らまれた後で プッと笑いだす。

「それは 聡 次第だなあ」

と言う啓子。

甘く頷く聡の胸は 啓子への 愛しさでいっぱいだった。



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